今年の春あたりから、ローマハウスで、空き巣の被害にあう家がでてきました。 私が聞いているだけでも、未遂を含めて10件ほどあります。 2度も間を置かないで入られた家もあります。 住民の一人の統計によると、今年ローマハウスで被害に合ったのは、全体の25%にもあたり、非常に高い確率です。
空き巣は、日中人が外出して不在な時を狙っています。 ローマハウスでは空き巣はたいてい低い壁を越えたり、庭の戸を開けて庭から入ります。 窓ガラスを割ったり、居間から庭に出入りするドアをこじ開けたりして侵入します。 不在で窓や居間のカーテンをすべて閉じていると、庭から不在なのか、誰か家にいるのか一目で分かります。
家はプライバシーを尊重するため、個々の家が微妙にずれて建てられています。 自分の家から周りにある家の様子を見るのが限られています。 夏は家の周りに植えてある『さんざし』の木やハマナスが繁って視線を遮断するので、空き巣にはもってこいの環境かもしれません。
私の家の近くにある6件の家(すべて家は奇数番号)内、3件がこの春空き巣の被害に合いました。 特に共同緑地の丘から、11番、13番、15番、17番の4件の家の様子が見渡せます。
11番はドアを破られ侵入未遂。13番と17番は空き巣に入られて、金目の物を盗まれました。 13番は、二人の子供が成長して家を出て、夫婦も仕事で日中居ません。 家の周りに植えてある木が視線を妨げています。 車が家の外にあるかどうかも、空き巣の決め手になります。
15番の家は、奥さんは子供がまだ中学生なのでパートで病院に務めています。 普通の人より家にいる時間が長いことや、よく庭に洗濯物を干しているので人の気配があり、空き巣に入りにくいのだと思います。 でも、10年以上前にこの家に女性が一人で住んでいて、日中映画を見に行って不在の時、空き巣に入られています。
17番の家は、塀がとても高く、家と庭が全く見えません。 新しく飼った子犬がおとなしく、残念ながら用心棒にはなりませんでした。 この家は、以前台所の窓から、連子戸を外されて空き巣に入られています。 現在の家族が移り住む前に、この家を所有していた人は、旅行で不在中の大晦日に泥棒に入られ、テレビなどを盗まれています。 大晦日は夜12時に花火があちこちで華々しく打ち上げられますので、花火の音でガラスを破る音がかき消されてしまい、近くに住む私たちは泥棒が入ったのが分かりませんでした。
つい最近9月28日の午前11時50分ごろ、台所の窓から、隣21番の庭に入ろうとしましたが、庭の戸がしっかり閉まっているので入れず、急いで走り去る2人の男性の後ろ姿を目撃しました。 一瞬なことでした。
隣の夫婦は、スウエーデンのサマ—ハウスに行って留守でした。 家に居る時はいつも庭の戸を半開きにしていて、不在かどうか台所の窓から確認出来ます。
逃げた2人は、ともに短い黒髪で、皮の黒いジャケットを着て、黒いズボンをはいていました。 すぐに家のドアを開けてあたりを見ましたが、近くの林に逃げたのか、姿が見えませんでした。 警察に電話して空き巣2人を目撃したことを伝えました。 警察は、コンピュータに入力しながら規則通り目撃した場所、時間、人相、服装、逃げた方向などを聞くだけでした。泥棒が家に侵入した形跡がないので、警察は来ません。
デンマーク全体の統計によると、一年間に空き巣の数は4万5千件で、1時間に5件の割合に起こっています。
空き巣というと、なんとなくトレーナーを着て頭からすっぽりフードを覆っている格好を想像していたので、2人とも小奇麗な皮のジャケットを着ていたのが以外でした。 もし、空き巣が台所の窓から入ったら、私の台所の窓からは全く見えない所なので、分からなかったでしょう。
この日は12時半ごろから用事があり、空き巣が戻ってくるのか心配でしたが外出しました。夕方帰宅後、別な道にあるローマハウスの住民から空き巣被害のメールが入っていました。空き巣は、トイレの格子戸をはずし窓から家に入って、ノートパソコン、装身具などを盗んだそうです。
この家の反対側にある家も、春に泥棒に入られています。 この2件は、バスが通る公道に一番近い家で、空き巣にとってはすぐ逃げやすい所だったでしょう。 後日トイレの窓をどのようにはずしたのかと見に行ったら、トイレの下にその家の小さなベンチが置いてあり、そこから登って入ったのだと分かりました。 その家の人は、空き巣はジョージ・ジェンセンのものは盗まず、カバンなども持って行ったので、警察はプロではなく、犯人は市内の不良外国人少年グループではないかと推測していると言っていました。
私が目撃した2人はその不良少年グループだったのか、別の空き巣なのか分かりません。二人組ですと、一人が見張りをしている間に、一人が家の中を物色できます。
空き巣続く理由は、泥棒は恐らくローマハウスの家の構造を知っていると思います。 住民が防犯に無防備であること、高齢者が多くて、平均より裕福な暮らしをしているので、犯人はこれまで繰り返し何件も侵入していると思います。
29号で書いたように、私の家では、窓枠に特別な留め金を設置しています。
台所やトイレの窓の外に付いている格子戸は、外から簡単に取り外せるので、留め金がすぐ取れない物にする必要もあります。 トイレの窓は、長い不在の時は、内側から別な金属製の留め金を付けて外から開けられないようにしています。 ドアの錠は、ピッキング予防のために、片方からしか開かない錠にしています。 この自衛策もどこまで通用するのか分かりません。
ローマハウスの住民は、このまま無防備になんの空き巣対策もせずにいることはできず、独自に自衛策を取らざるを得ません。 不在の時、近所に伝言しておくのは、もちろんですが、空き巣が入ったら非常に高い音が鳴り、携帯電話に接続するような防犯ベルを設置しようという意見も出ています。
近い将来、学校や公共施設のように、防犯カメラを設置するなどという意見も出るかもしれません。 建物が国の文化財登録ですから、それを損ねないように、防犯金具など窓の内や格子戸に取り付ける必要があります。
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写真は全て小野寺綾子氏撮影
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